母方の祖母は、90半ばです。
私の母は
就職を機に実家を離れました。
私は実家や義実家に帰省することはあっても、
祖母に会いに行くことはほとんどありません。
何かの折にふと
祖母のことを思い出しても
日々の生活の中に
いつもその想いは埋もれていきました。
その祖母が
加齢でだいぶ弱ってきたこと。
最近はほとんど
自宅のベッドで寝て過ごしていること。
母からそんな話を聞き
「会えるのは今しかない」と
子供達を連れて会いに行きました。
会いに行くと
ベッドで休んでいた祖母。
もう目がほとんど見えず
耳もずいぶん遠くなっていました。
話しかけると体を起こし、
「あんた、どこの子?」。
大きな声でゆっくり話しかけても
なかなか通じない。
途中からは
紙とマジックを持って
紙に書きながら話しました。
手を握りながら、話しました。
祖母の手は
だいぶ痩せて軽くなっていたけれど
とても温かかった。
今まで懸命に生きてきた人の手だ、と感じました。
ずいぶん顔も痩せてしまっていたけれど、
その顔の中には母の面影を感じました。
ああ、お母さんを産んだ人なんだ。
当たり前なんだけれど、そう感じました。
祖母のベッドには
頭の近くにいろいろ物が置いてありました。
体を起こさなくても
自分の必要なものを手に取れるようにだそうです。
その中には、ハンドバッグもありました。
バッグの中には、もう20年も前に撮った家族写真。
今は亡き、
祖父の米寿のお祝いの時に撮った写真でした。
そこには大学時代の私も写っていて、
まだ若かった母も写っている。
祖母が産んだ子供達(おじやおば達)が写っている。
祖母はその写真をきちんとラミネートでパウチして
大切にしていたようです。
子供の名前をひとりひとり挙げて
改めて教えてくれた祖母。
家族を大切にしてきた祖母。
手紙を送ることも考えたけれど
会いに行って本当によかった。
快く送り出してくれた夫に、
心から感謝です。
おばあちゃん、
お母さんを産んでくれて、ありがとう。
おばあちゃんがいたからこそ
私や子供達がいます。