石黒智子さんの本は、何度読み返しても気付きがあります。
前に読んだ時とは違う、新鮮な気付き。
その時々の自分の心の在り方で、響いてくるものが異なるようです。
『少ないもので贅沢に暮らす』
今回読み返したのは、『少ないもので贅沢に暮らす』(PHP出版)。
文庫ですが、この本にも石黒さんが撮影した美しく、
かつ実用性を感じさせる写真がたくさん載っています。
(石黒さんの本には、石黒さんご自身が撮影した写真が使われています)
写真を眺めているだけでも、
「家を整えよう」
「わが家の暮らしで、見直せるところは?」
という気分が盛り上がります。
しかし石黒さんの本と言えば、
淡々と、しかし信念を感じさせるその言葉たちが魅力的なのです。
今回、心に響いた言葉たち
前回読んだ時には、
- シルクもウールも、自分で手洗いしてみる(p.51)
- 子供には小さい頃からいい道具を使わせる(p.85)
- 一生ものは軽いもの(p.199)
に触発されたことを覚えています。
その時に刺激を受けた言葉たちは、私の生活の一部に取り込まれ、
わが家の暮らしやすさにつながっていきました。
一度目にこの本を読んでから、早や数年。
今回は、全く違う部分が心に響きました。
なぜか「見送り」に関わる部分について。
ここ数年で、実家や義実家の親に老いを感じることが増えてきたからでしょうか。
葬儀を行わないのは姑の遺言でしたが、それでは、寂しいからと知人のウェブデザイナーに頼んでホームページをつくりました。生前の旅行写真や趣味のぬいぐるみやステンドグラスの作品を載せ、献体から戻ってきた骨壺の納骨など3回忌まで更新しました。「葬儀をしないと後々になって訪ねてくる人がいるから対応が大変だよ」と助言してくれた人がいるのですが、すべてメールで済み、対応に混乱することはありませんでした。(p.65)
葬儀は本人の希望に残された家族や身内がどれだけ沿えられるかということが一番大事だと思いました。葬儀においては、好き嫌いは暴言です。こうあるべき、というのもつつしみたい。どうあっても、「いいお見送りでした」と労いの言葉を掛けるのが周りの礼儀です。(p.65)
こんな見送り方もあるんだと、心に留めました。
同じ文章を読んでいたのに、前回、この部分は特に響かなかった。
当時よりも数年、自分や家族が年を重ねたからかもしれません。
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